山岳遭難事故の多くは " 知らない " ことで発生していると考えられます。これは山岳遭難事故に限ったことではありませんが、そもそも、危険を危険と認識していないから危険なことをしてしまうのであって、認識できていたらその行為は行わずに済みます。何が危険で何が安全なのかを、きちんと学習する機会を設けて学ばなければ、どこかで大きな事故に遭ってしまいます。
これらを学習する為には、山岳会に所属して先輩から学ぶ、山岳団体や講習事業者が開催している講習会を利用して学ぶ、専門書を購入して学び、ひとつずつ実践してみるなどの方法がありますが、それぞれハードルが高い部分があります。誰もがもっと手軽に登山に関する知識を学べる場を作るべきであると、日本安全管理推進機構では考えています。
日本安全登山推進機構は、それぞれの認定に見合った学習カリキュラムを設け、段階的に学習を進められる資格取得のプロセスを用意しています。資格取得を目指して学習することで、登山に必要な様々な知識を身につけることができます。
登山基礎技術認定では、Web上における動画学習と座学試験を実施します。あらゆる分野の登山の専門家による座学講習ビデオを見ていただくことで、専門書で学ぶより確実な知識の定着を目指すことができます。ビデオ学習終了後にWeb座学試験を受験し、合格することができれば、ハイキングやトレッキングを安全に行う為に求められる知識が身に付いているという証明になります。
登山リーダー認定では、Web上における動画学習と座学試験を実施し、その合格者を対象に実技試験を実施します。そして、座学試験、実技試験の両方に合格した方を対象に合格者研修を実施し、研修修了者に登山リーダー認定を発行します。この過程を経て、最低限身につけるべきロープワークや緊急時に対応できるセルフレスキュー、ファーストエイド、ビバーク技術など、ハイキングやトレッキングのリーダーを担う上で欠かす事のできない緊急時対応能力を身に付けることができます。
さらなるステップアップを目指す方は、登山技術指導者認定をご受講ください。当機構では、民間の登山教室事業者に1年間のカリキュラムの実施を委託しており、そこで本格的な山岳登攀における確保技術や山岳救助技術、現役医師による救護技術の教育など、極めて高度な登山技術を学ぶことができます。
また講習会に参加される受講生の方に講習アシスタントとして指導したり、山行企画のガイディングのアシスタントとして現場の安全管理に携わる機会を通じて、登山技術指導者として求められる能力を実際の現場で身につけたりすることができます。
このカリキュラムは山岳会の指導員を目指す方、警察・消防の救助機関に属する方、プロの登山インストラクターを目指す方、アルパインクライマーとして総合的な能力を身につけたい方、登山リーダーとしてより確実な力を付けたい方などが受講しています。
これらの資格取得過程における学習内容は、山岳遭難事故防止に役立つことはもちろんですが、登山の楽しみも確実に広げてくれます。なんとなく行ってきた登山の一つ一つの細かなリスクを理解し、危険をコントロールして一歩一歩確実に歩を進めることは、本当の意味で山に向き合うことになります。自然の中で凡ゆる危険を回避する知識は、登山をより自由なものにします。
学びの先に、もっと広く深い山の世界があります。ぜひ学習の扉を開いてみてください。登山者としての人生は、きっともっと豊かになります。
全ての登山者が知っておくべき基礎的な知識を動画で学習して頂き、学習終了後にWeb学科試験を実施します。合格した方には『登山基礎技術者認定証』を発行します。
上位認定となる登山リーダー認定、登山技術指導者認定を受験する場合、登山基礎技術認定を得ていることが前提となります。
登山基礎技術者認定を得ている方を対象に、リーダーとして求められる知識を学習して頂きます。Web学科試験の両方に合格し、一定の研修を受講した方には『登山リーダー認定証』を発行します。
仲間を連れてリーダーとして登山を行方向けの資格取得カリキュラムです。
アルパインクライミングやマルチピッチクライミングなど、より高度な登山を行う方が対象の認定です。確保理論やシステムなどを動画学習して頂き、Web学科試験を実施。学科試験と実技試験の両方に合格した方が一定の研修を受講する事で、『登山技術指導者認定』を得ることができます。